ホリー・モーターズ
Holy Motors

カンヌで(ジャーナリストに)大喝采されたレオス・カラックスの『Holy Motors』。この作品に何も賞をあげなかった審査員たちがけなされたほど。7月封切りになってみると観客の採点はイマイチ。さて・・・
朝。ムッシュー・オスカー(ドニ・ラヴァン)は子供達の声に送られて大きな邸宅から出かける。
「パパ、いってらっしゃい」「お仕事がんばって」
結婚式のレンタルで見かけるような白いリムジンと初老の女性ドライバーが待っている。
「今日のランデブーは?」
「9つです。最初の資料をご覧ください」
リムジンの中は楽屋裏のようになっていて、ムッシュー・オスカーは最初のランデブーの支度を始める。ドライバーが扉を開けると、ジプシーの年老いた老婆になったオスカーが現れ、セーヌの橋で物乞いを始める。車に戻って変装やメイクを落とすと次の資料が待っている。潜水服のようなゴムのボディスーツで現れるオスカー。『TOKYO!』のメルド氏も登場する。それが意味するところもわからないまま、オスカー氏の七変化どころか九変化に意表をつかれ、映像の美しさに引き込まれていく。そして映画半ばで見えてくる(もっと早く見える人もいるはず)レオス・カラックスのメッセージ:映画へのオマージュ。
マルセル・マルソーに惹かれ、ピエロとパントマイムを学んだドニ・ラヴァンのフィジカルな表現力にも驚く。可笑しいのは彼がああいう顔立ちなんで、どれが変装でそれが本当の顔なのかわからないとこ。
映画へ思い入れによって観る人がそれぞれ感情移入できる作品。作品中でも引用されるオスカー・ワイルドの言葉の通り:美しさは見る人の目の中に・・・

入り込めず退屈する人ももちろんいて、隣からは「こんなつまんないの初めて!」「あと何分で終わるの?」という声が聞こえてきた。じゃ出ればいいでしょ!さてあなたはどう思うでしょうか?

Holy Mortors

レオス・カラックス監督作品
出演:ドニ・ラヴァン、エディット・スコブ、エヴァ・メンデス
1時間55分
フランスで公開中

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