猫沢シネマ


ミュージシャン、エッセイスト、映画解説者、グラフィティーライター。
2002年よりパリ在住。 著書に "パリ季記~フランスでひとり+1匹暮らし~" (地球丸)がある。秋には新刊を出版予定。
www.necozawa.com
たまにはフランス・アニメーションでほっこり

久しぶりに訪れたパリは、もうすっかり秋だった。マロニエの葉が色づいて、意味もなくセンチメンタルになってしまう、パリに一番似合う季節。例年よりも寒くなくて、東京から持ってきたセーターも着込まずに、2区の界隈をうらうらと散歩していたときのこと、気がつくと映画館‘ル・グラン・レックス’の前にいた。実はこの日、たまには気分を変えて、フランスの新作アニメーションを見ようと街へ出たのだった。しかし、どこで見るかはまだ決めておらず、なんとなく歩いていたら、私の中での‘パリの3大ロマンチック映画館’に入るレックスに偶然たどり着いたというわけだった。

   
↑‘Azur et Asmar’の映画看板   ↑LE GRAND LEXは、このちょんとした塔が目印   ↑かわいいシャンデリアが素敵なLEXのロビー

ところで今日「見よう!」と決めていたのは、ミッシェル・オスロの新作‘Azur et Asmar’(アズュールとアズマール)。ミッシェル・オスロといえば、日本でも2003年に公開されて話題を呼んだ‘キリクと魔女’を思い出す。日本のアニメーションとは一味違い、美しい影絵で作られた絵本を眺めているような不思議な気持ちになったものだ。その監督オスロが今度はどんな世界を作り上げたのか、私はわくわくと子供みたいな気持ちで久しぶりに訪れるレックスの扉を押した。「わあ…」と、思わず声に出てしまった。それもそのはず、ここレックスは、ロビーからシアターまで、まるで古いおとぎの世界のようなしつらえで、ちょっとしたアミューズメントパークにきた気分。赤い革のクラシックな椅子に深く座って、シアター内を回っているお菓子の売り子さんからピーナッツを買ったら映画が始まった。
兄弟のように育てられた城主の息子アズュールと、その乳母の息子アズマールは、やがてそれぞれの身分によって一度引き離されるが、成人した2人は再会し、仙女のいる城を目指して旅に出る…。とてもわかりやすいファンタジックなストーリー。アニメーションのタッチは‘キリク・・・’に比べ、ややCGの割合が多く感じた。それでも、細部まで緻密に描かれた、まるで中世の絵画を眺めているような感覚は、フランス・アニメーションならではの美しさ。映画館と映画がこんなにもマッチしているなんて!と、今日の偶然に感謝せずにはいられない、素敵な秋の映画日和だった。
Azur et Asmar'

2004年・フランス作品
監督:Michel Ocelot
現在、UCG、MK2、Gaumont系列の大型映画館を中心に公開中。



LE GRAND LEX
1,bd Poissonniere 75002 Paris
メトロ8・9番腺‘Bonne Nouvelle’下車
チケットは大人9ユーロ。
なお、この映画館で上映される映画は
外国のものでも、すべてフランス語吹き替えとなる。




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