先日一緒にご飯を食べて再び日本に発っていったエミさん、お元気ですか?
ところで『
青いパパイヤの香り』はどこのビデオ屋を探してもなかったので、別の夏っぽい映画を取り上げようと思ったんですが、5月は肌寒い雨続きで、夏っぽい気分が盛り上がらず、エミさんが「パリで映画を見る暇がなかった」と言っていたのを思い出して、最近一番印象に残った仏映画のことを書きます。

タイトルは『J’attends quelqu’un(誰かを待っている)』。田舎町でカフェを経営するルイは離婚して独り者。カフェで忙しく働き、元妻と暮らす息子が遊びにくるのと、ウェイトレスのお尻を時々触るくらいが楽しみの、単調な毎日。その彼が、生き生きするのが週に1度町外れのホテルでサビーヌに会うとき。それもお金を払って・・・サビーヌはほかのお客も取る娼婦で、この逢瀬は、仲のいい妹にもいえない秘密です。妹のアニエスは夫のジャン=フィリップと暮らしている小学校の先生。夫婦仲睦まじくても、久しぶりに再会した青年、ステファンと寝てしまうところを見ると、彼女も「誰かを待っている」のだろうか?笑っているのか泣いているのかわからない表情のエマニュエル・ドゥヴォス(写真下)が、アンビバレントな妹を好演。でも主軸はあくまでルイ。娼婦のサビーヌに強い愛情を感じている彼、ある日、週一の逢瀬に彼女が現れないと、呆然となります。次の週も現れないと、恥も外聞もなく、10分置きに彼女の携帯に電話し、行きそうな場所を探して歩く。少年のような恋をしている哀しい中年を演じる、ジャン=ピエール・ダルーサン(写真上)がすごくいい。会いたさと心配で、周囲に当り散らしたり、逢引を思い出してぼんやりしたり・・・探し疲れた頃、カフェにフラリと現れたサビーヌが「電話した?」と聞くと「うん、一度か二度ね」と強がっちゃう。ミニマルな演技で、寂しさや愛情が伝わります。
この作品とブログにも書いた「
元気です、ありがとう」と、仏映画を続けて見たあと「スパイダーマン3」と「フラクチャー(原題・日本未公開)」を観て、仏映画とアメリカ映画、昼と夜ほど違う!と改めて感じました。よく言われることですが。制作費のゼロの数の違いが画面の隅々まで感じられます。「フラクチャー」はシナリオも対決する2人の主人公もカメラもすべてがトップ、娯楽作としてはすごく面白かった。でも、普通の人の、事件とも呼べない出来事を繊細に切り取った物語が、感情移入できて心に残るように思います。次回、エミさんにも見て欲しい作品でした。「
青いパパイヤの香り」も諦めずに探します。
J’attends quelqu’un(誰かを待っている)
2007年フランス作品
監督・脚本:ジェローム・ボネル
出演:ジャン=ピエール・ダルーサン、エマニュエル・ドゥヴォス
長谷川たかこ プロフィール
パリ在住20年の文筆家。版権エージェント・翻訳家を経て出版プロダクションを立ち上げ、フランスのバンド・デシネ(漫画)を日本に紹介。漫画家の長谷川町子は伯母にあたる。 |
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猫沢エミ プロフィール
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