エミさん、こんにちは。フランスではちょうど1年前に封切りになったこの映画、日本では今かかっているんですね。日本では“アメリーちゃん”主演の映画、こっちでは人気スター2人の共演ということで話題でした。ガッド・エルマニは有名人人気投票(ジダンが1位になるやつ)で10位内に入る、オードリー・トゥトゥより人気のタレント。もともとお笑いタレントで、彼のワンマンショーはすぐ満員になり、映画にもよく出ます。コミカルだけど、甘くて哀愁のある雰囲気も持ち、“高嶺の花”イレーヌに一途に恋するジャンはガッドのイメージにぴったり。早い話、私は彼のファンなんだわ。というわけで、私の目はガッドを追ってしましました。
イレーヌ(オードリー・トゥトゥ)を喜ばせるために、なけなしの定期預金を解約したり、ゼロの数がひとつ違うメニューを見て硬直したりするジャン。愛想をつかされて1年後、モンテ・カルロでばったり再会する2人。イレーヌもジャンが忘れられなかったらしくまた一夜をともにしますが、イレーヌの贅沢好きに応えるのは不可能。彼女のそばにいるためにはこれしかないと、ジャンは自らジゴロとなります。パトロンのオジサマ、オバサマの監視の目をかいくぐって、束の間のデートを楽しむジゴロとジゴレット。高級レストランで食べるキャビアやロブスターより、海岸で一緒に食べるパテのサンドイッチ(日本でいったらおにぎり?)をずっと美味しく感じるイレーヌは、お金で買えないもの(プライスレス)の大切さを発見していきます。
イレーヌみたいな女性が周囲にいるかというエミさんの質問。イレーヌはいわば長期コールガールですよね。10年以上前、テレビの仕事をしていた夫がカンヌのフェスティバルに行くと、ホテル・マルチネーズのバーに、イレーヌのように鴨を狙う女性がウロウロしていたそうです。今は多くの出会いがインターネットでもっと密やかに行われているみたい。
玉の輿に乗って贅沢に暮らしたい、という女性は話には聞くけど、周囲には見当たりません。概してフランス人は高級ブランドに対して、日本人と異なるスタンスです。ブランド尽くめの女性は、決してエレガントとかシックとは言われません。下手すると逆にプル-ク(田舎モン)とかヌーヴォー・リッシュ(成金)と言われてしまう。男女にかかわらず自分の長所や魅力をうまく演出している人、さりげなくお金がかかっている人のセンスが評価されます。
この映画が封切りになったとき、オードリー・トゥトゥのインタビューを読んだら、「モンテーニュ通りは行ったことがなかった」そうで、彼女ほどの人気女優が!とびっくりしたのを覚えています。
とにかくこの映画、2人の俳優がいいのと、高級ホテルに長期滞在するお金持ちたちの、退廃的で決して幸せそうではない様子も描かれていて、「お金は人を幸せにするのか?」と考えさせられる作品。Loto(宝くじ)で巨額の賞金を当てた夫婦の多くが別れている、という事実を思い出しました。
PS.ジゴレットたちのテクニックで、セリフを最後まで言わない、というのがあったでしょう?フランス語では「Je voudrai…..j’aimerai…..」だけど、日本語ではどう訳されていたんですか?「私が・・・
プライスレス 素敵な恋の見つけ方 (Hors de prix)
2006年 フランス作品
監督/ピエール・サルヴァドーリ
出演/オドレイ・トトゥ、ガド・エルマレ、マリー=クリスティーヌ・アダム
©2006 LFP LES FILMS PELLEAS - FRANCE 2 CINEMA - FRANCE 3 CINEMA - TOVO FILMS - KS2 PRODUCTIONS
※日本での公開は、2008年3月8日より、シネカノン有楽町2丁目、
シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー。
http://www.priceless-movie.com
長谷川たかこ プロフィール
パリ在住20年の文筆家。版権エージェント・翻訳家を経て出版プロダクションを立ち上げ、フランスのバンド・デシネ(漫画)を日本に紹介。漫画家の長谷川町子は伯母にあたる。 |
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猫沢エミ プロフィール
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