エミさん、こんにちは。『
Paris』について、面白く読みました。
ほんと、パン屋のマダムって居丈高なタイプが多いですね。生っちろいバゲットをくれるんで、「Un peu plus cuit」(もうちょっとコンガリ焼けたの)と注文すると、睨まれたりして!雑誌に載ったパン屋はさらに威張っています。感じ悪くても、主食だから仕方なく買うんで、態度は変わりません。
さてエミさんがParisなら、私はTOKYO!
ご存知、ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノの3人が今日の東京を描いた3部作。日本より遅れて、10月15日からパリで公開になりました。
タイトルから、視覚的にTOKYOの姿を描いた軽い作品かと思いきや、メッセージは鋭く、深く、後に残る映画でした。3つとも。
自然で可愛い恋人同士。でもその結末は・・・
素顔がわからないドゥニ・ラヴァン
1991年『ポン・ヌフの恋人たちの』のドゥニ・ラヴァン。
ご参考までに。
引きこもりの上に片付け魔
まず、ミシェル・ゴンドリーの『インテリアデザイン』。主役のヒロコとアキラ(藤谷文子/加瀬亮)がとても自然で上手く、会話もいい。シナリオはフランス語で書かれ、日本語に訳されたわけで、監督たちは翻訳までチェックできないはずなのに、これだけ自然な日本語になっているとはすごいな、と感心しました。
この作品から汲み取れるメッセージは、日本は、何かの役に立ってないと、非常に肩身が狭い社会・・・でしょうか。足を棒にして(文字通り棒になっちゃうけど)アパートを探すのも、駐車違反で持っていかれた車を、何万台の車の中から見つけるのもヒロコ、実はとても役に立っているのに、その“お役立ち”が人から認知されないと意味がないのです。日本ってそういうところ、あるかもしれませんね。
次のレオス・カラックスの『MERDE』は、3つの中では、見ている最中よく意味がわからなくて、「長すぎる」と感じましたが、後からジワジワと来た作品。
東京のマンホールから現れる「地下道の怪人」。不潔で、凶暴で、訳のわからない言葉を発し、食べるのはお札と花だけ。この怪人に対する日本人の反応が、皮肉と挑発たっぷりに描かれています。民主主義の姿をした専制主、不潔恐怖、外国人嫌い、そして世界から批難を受けている死刑制度・・・辛らつなメッセージです。
「Shaking Tokyo」は、一番詩的で、映像もきれい。将来、日本人がみんな引きこもりになってしまうという設定は「あり得ないことじゃない」とドキッとさせられます。引きこもり10年生の主人公を演じる香川照之が、現実との違和感を、とても繊細に表現します。テーマはロマンチックで3作中、一番希望が持てる。それにしても、カメラが蒼井優の表情の上で長く止まり過ぎ!監督がほれ込んだみたいに・・・実際そうなんでしょうけど。
この3人が、日本にどのくらい滞在したのか知りませんが、それぞれ日本特有の傾向なり現象を突いていて、表層的でない作品になっているのがすごいです。それと、3人とも他の2人が何を作っているのか全然知らなかったんですって。それなのに、3作に温度差がなく、滑らかに見続けられる点にも驚きました。タイトルは「TOKYO!」より「日本人!」のほうがぴったりきますが。
ソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』(この映画大好き!)同様、背景に流れる東京の街に、ちょっとホームシックになったりしながら、外国人監督にインスピレーションを与えた今日の日本に思いを馳せます。ちょっと距離を置いた視線には、教えられ、考えさせられることが多いです。
Tokyo!
2008年 フランス作品
監督/ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ
出演/藤谷文子、加瀬亮、ドゥニ・ラヴァン、香川照之、蒼井優 他
長谷川たかこ プロフィール
パリ在住20年の文筆家。版権エージェント・翻訳家を経て出版プロダクションを立ち上げ、フランスのバンド・デシネ(漫画)を日本に紹介。漫画家の長谷川町子は伯母にあたる。 |
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猫沢エミ プロフィール
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