突然フランス全土、零下の寒さで、タイツにソックス、ヒートテック(ユニクロの宣伝するわけじゃないけど一度着たらもう脱げない!)、マフラーぐるぐる巻きに革の手袋です。エミさんはこの寒波の来る前に日本に帰られたんですね。お元気ですか?
エミさんも話されていた日仏合作の「Yuki et Nina」週末に観ました。
9歳のユキはフランス人の父、日本人の母を持ちパリで暮らしています。ところが、両親が別れることになり、お母さんはユキを連れて日本に帰ることに決めます。日本に行きたくないユキ。馴染んだパリの生活、学校、友達、とりわけ親友のニナと離れたくない。
ニナの両親も離婚しているのでさらに連帯感が増します。2人はユキのママに、離婚を思いとどまらせる手紙を書きますが、愛情が冷めた大人たちの心は変わらない。
最後の手段は、家出!・・・と決めたら、少女たちはためらいがなく、行動的。身体の半分くらいある大きなリュックを背負い、ニナの父親の田舎の家へ。その近くの森へ、と逃避行が始まります。
親の離婚という(残念ながらよくある)出来事を、完璧に子供の視点で捉えている作品。特に小さい子供にとって、両親は彼らの“世界”であり、両親が別れることはその世界が真っ二つに割れることであり、さらに住む国、学校、友達まで変わるとなるとまさに世界の崩壊です。
親の勝手さを責めるニナ。「愛してたんでしょ?でも今は愛してないっていうの!」
一方ユキは感情をあまり表さず、言葉にもしないけど、その表情から葛藤が伺えます(こけしのような柔らかいユキの表情がすごくいい!)でも意志は強そう。
お母さんが日本行きの航空券を2枚持ってきて「夜8時の便だからラクね。寝ていけるわ」
ユキは何も言わず、自分の航空券をツーッと押しやります。そして一言「日本には行かない」
と、日本人とフランス人の感情表現の違いも細やかに描かれています(ユキのお母さんの言動がフランス人っぽいけど)
『こねずみデジレの2つの家』という絵本(摂訳です、スミマセン!)を思い出しました。親が離婚するネズミのお話です。お母さんネズミが家を「ピンクに塗りたい」というとお父さんネズミは「いや、緑だ」。単純化されているけど、実は別れるきっかけってこういうもんですよね。結局、ピンクの家と緑の家を作って両親は別れて住むことに。2つの家を往復して心の晴れない毎日を過ごすデジレを、高い木の上からフクロウが見ていて、手助けをしようとします。
『ユキとニナ』に登場する森は、このフクロウの役目があり、森の姿には既視感があります(トトロ!)。離婚という現実的な試練を乗り越えさせてくれるファンタジー・・・印象に残る作品でした。
ヒポリット・ジラルドと諏訪敦彦の日仏合作映画で、舞台もフランスと日本。1万kmの距離、2つのカルチャー、言葉・・・を考えると大変な共同作業ではなかったかと思われますが、かなりおしゃべりしてしまったので、この辺でエミさんにバトンタッチしていいですか?
Yuki et Nina
2008年 フランス作品
監督/ヒポリット・ジラルド&諏訪敦彦
出演/Noe Sampy、Arielle Moutel、Hippolyte Girardot、清水つゆ
フランスで公開中、日本では1月末公開
長谷川たかこ プロフィール
パリ在住20年の文筆家。版権エージェント・翻訳家を経て出版プロダクションを立ち上げ、フランスのバンド・デシネ(漫画)を日本に紹介。漫画家の長谷川町子は伯母にあたる。 |
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猫沢エミ プロフィール
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