オテル・ドゥルオー
Hôtel Drouot

パリの有名な競売場、オテル・ドゥルオーは1852年6月に落成した建物。1976年〜1980年に大掛かりな改装工事を行い、その間は旧オルセー駅、つまり今のオルセー美術館で競売が行われた。28年経った今、建物の中は、再び改装工事が必要な感じがするが、オークション会場独特の活気(熱気?)が漂っている。

建物の中には16の競売場に分かれていて、絵画、家具、オブジェ、ジュエリー、古本、ブランド品などテーマ別に競売が行われる。私は、エルメスとジュエリーのオークションを見学した。ちなみに誰でも入れてどのオークションでも見ることができる。
「1500、1600、1700、はいそこのマダム1800、1900、誰か2000に行きますか?行かない?はい、では1900でアジュジェ(落札)!」ポンと木槌を打つ。

エルメスのオークションの会場は満員で、バッグやスカーフ、プレタポルテが次々に登場している。後ろのほうにいたので、値段を上げる仕草が見えなかったが、注意してみると、さりげなく手を上げている。小学校の授業のようにでは「ハイ!」ではなく、胸のへんまでしか上げないので、後ろにいると見えない。競売のスピードは早く、2分もかからない。「サイズは?」「手にとって見れます?」などと言える状況ではない。なぜ彼等がこんなに早く決断できるのかというと、前日にエクスポジションといって、オークションに出るものが展示されるからだ。買う気のある人たちは、このときにじっくり見て、いくらまで出せるかを決めてやってくる。

さて「adjugé」(アジュジェ)そして木槌のポン!で落札されるとすぐ、スタッフが品物を落札者のところまで持ってくる。「この人がこのまま逃げたらどうなるんだろう?」と余計な心配をしたけど、すぐに「現金ですか?クレジットカードですか?」と聞き、2分後にはお金を取り立てる。会場にいるのは半分以上バイヤーのような雰囲気、買う気のある人は早くから来て前の席を取っている。電話でオークションに参加している人もいて、4人のスタッフが電話にかかりっきり。時にはスタッフ同士で競り合っている。

次に階上のジュエリーの競売を見に行く。こちらはスピードがややゆったりしている。自転車の形のダイアモンドつきブローチを落札したムッシューに「あなたサイクリストですか?」と競売使。「いいえ」「これをつけて自転車に乗ったら素敵だと思ったので」とおしゃべりも入る。会場の人たちは用意されたカタログを見ながら、落札された値段を書き込んだり真剣な表情。何千ユーロの買い物を即座に決めるのだから、真剣にもなるだろう。これまでで最高の落札価格は150万ユーロ!2007年12月、中国製黒漆のワインカラフ(中国ならお酒?)についた値段で、漆製品の世界記録価格だそう。

次々と登場するネックレスや指輪・・・どんなマダムがつけていたのだろう?どうして売ることにしたんだろう?手放すのは辛くなかったのか?どんな女性の手に渡るのだろう?と想像が膨らんでいく。

歴史のあるドゥルオーのオークションもそのうちネットで行われるようになるだろうか。宝石や絵画が、人から人へ渡っていく競売場には“物語”があり、ヴァーチャルになって欲しくない気がした。

9, rue Drouot 75009 Paris
TEL:01 48 00 20 20
開:月〜土、11h〜18h
Metro : Richelieu-Drouot(8、9番線)、
Le Peletier(7番線)
9 rue Drouot 75009 Paris