スタッフ体験記
モン・サン・ミッシェルとブルターニュの1日

ユネスコ世界遺産として名高いモン・サン・ミッシェル。フランスの町で、パリの次に思い浮かべる人も多いのでは?「奇跡」「驚異」「傑作」など様々な形容で讃えられるこの土地は、「ナポリを見てから死ね」ではないけど、一度は訪れてみたいもの。モン・サン・ミッシェルを訪ねるツアーの殆どは、往復8時間かかるバスツアー。フレンチ・コードが紹介するのは、TGVを使って移動時間を節約し、モン・サン・ミッシェルとブルターニュ3都市を訪問するというブルターニュのツーリスト・オフィスがオススメするプランだ。


朝7時35分発のTGVでモンパルナス駅を出発。2時間ほどでレンヌ駅に到着。エスカレーターを上ると、名前が書かれた紙を手にしたおじさんを発見。近寄っていくと、あちらもすぐに気づき「コンニチハ〜」とにっこり握手。彼が運転手兼ガイドのマルクだ。アメリカ人老夫婦とアメリカ人母娘も合流し、全員と挨拶を交わしミニバスへ向かう。今日参加するのは私達を含め合計7人。

バスのなかで各町の地図が載ったパンフレット、わたしたち日本人にはMP3プレーヤーが配られる。マルクが簡単に今日のツアーの説明をしてから出発。説明は英語。レンヌの説明を聞きつつ街を通り抜けると、牧歌的な風景が続く。車中では次に訪れる町の歴史や特産物、窓から見える建物などの説明をしてくれる。アメリカ人が多いのでさぞ賑やかだろうと思っていたが、みなさんとても静か。英語の説明は分からんという方は、車の中でMP3の操作方法を把握しておくといい。連れ2人が機械に弱いので、私がまとめて把握。

ディナン

10時45分ディナンに到着。車から下りる前に、地図を見ながら街歩きコースの説明を受け、そのあとは自由行動。わたしたちが参加したのは、広場にマルシェが立つ木曜日。お腹の空いた私たちはまずマルシェに直行し、ブルターニュ名物のひとつ、ガレット・ソシス(Galette saucisse)を買う。ソーセージをそば粉のクレープで包んだもので、塩がきいた荒々しいお味。マルシェを歩く地元の人もガレット・ソシスを片手にお買物をしていた。ディナンは、素朴な石造りの家と石畳の道が続くかわいらしい町。なかでも車から降りてすぐの中心街へ向かう坂道がよかった。12時半に集合場所の市役所前へ集まり、モン・サン・ミッシェルへ向けて出発。

遠くにモン・サン・ミッシェルの影が見え始め、いよいよ!と期待も高まる。この日は残念ながら曇り空だったが、遠くに浮かびあがる僧院のシルエットはなんとも荘厳。だいぶ近づいたところで一旦停車し、車を降りて道の反対側へ。この外観をじっくり見たいというリクエストが多いのだろう。道の両脇に広がる草原の羊の群れと僧院を見つつ説明を聞く。この辺り一帯は、昔は海水で覆われていたそう。その風景を再現しようと、着々と工事が進められている。ということは、この風景が見られるのもあと数年。海水の塩とミネラルを多く含む草を食べて育つため、塩分がきいて美味しいというこの羊たちはどこへ行くのだろう?羊にも思いを馳せつつモン・サン・ミッシェルの写真を一枚。

モン・サン・ミッシェル

13時30分モン・サン・ミッシェルに到着。噂に違わぬ観光客の多さ。名物の羊料理ムートン・ド・プレ・サレ(Mouton de pré-salé)も気になるが、まず修道院へ行くといいというマルクのアドバイスに従い、割引券をもらって修道院へ向かう。卵を泡立てる軽快なリズムが聞こえてくる有名なオムレツ屋、色とりどりのお土産屋が並ぶ坂道を上り、修道院入り口へ。団体旅行客が多いためか入場券は並ぶことなくすぐに買え、中もそれほどの混雑はなく、ゴシック様式をはじめ様々な中世の建築様式が混ざり合っているという礼拝堂や回廊、中庭をゆっくり見学できた。僧院はもちろん、周りにある家々まで、この一帯はまるで時間がとまったかのよう。
わたしたちは時間が足りず行けなかったが、ここでしっかり食事をとりたい方は世界遺産の湾が一望できるレストランLes Terrasses Poulardへどうぞ。なぜ時間がなくなったかというと、外からじっくり僧院を見ようと裏側へまわっていたから。遠くまで続く広大な砂浜と僧院の眺めは圧巻。足元はゆるく湿っているところも多いので、ここを歩きたい人は高級靴、白い靴は避けて。

サン・マロへの移動中ものどかな風景が続く。マルクと他の乗客のおしゃべりを子守唄に、車の中でちょっと一眠り。

サン・マロ

16時30分サン・マロに到着。街を取り囲む頑強な城壁が目の前に広がる。サン・マロは長い歴史のなかで外国の攻撃から国を守ってきた要塞都市、城壁の中の建物もすべてどっしりと重々しい石造りで、男性的な景観。城壁の上を歩いて街を一周できると聞いて喜んだが、同行者が高所恐怖症のため断念。モン・サン・ミッシェルで見学に夢中になってご飯を食べそびれたので、軽く街をひとまわりした後、遅めの食事をとる。時間が中途半端なため食事ができるお店は少なかったが、シーフードが食べられるところを発見。サン・マロも歴史的建造物が数多く、もっと見て歩きたかったが、一度座ったら怠惰になってしまった。
マルクが駅まで送ってくれ、TGVでパリへ。

なんと言ってもモン・サン・ミッシェルの美しい姿と「荒削り」という表現の似合う石造りの建物が印象的だった。厳しい気候に耐えてきた歴史を感じさせる。この日も海風が強かった。とにかく朝早くからあちこち移動し、見どころ盛りだくさんの一日を過ごし、ひさびさに遠足をしたような満足感。この感じは運転手兼ガイドのマルクのお陰でもある。とても親切で、町に散策に行く前に、丁寧に色々と教えてくれた。NHKのモン・サン・ミッシェル特集番組の撮影にも立ち会ったとか。団体旅行に参加したことはないが、このツアーのよいのは街に着いたら自由に動けるところ。でも、1日で3都市をまわり、滞在時間は各街とも1〜2時間と短めなので、時間配分、ペース配分が大切。おいしいレストランやお店など、もちろんその場で教えてくれるが食事やお土産を買う時間などは特に設けられていないので事前に調べておくとよいだろう。旅行は計画を立てるのも楽しみのひとつ。わたしたちのように、見学に夢中になって食事の時間がなくなる、前半ではしゃぎすぎてサン・マロでぐったり・・・なんてことにならないように!