フレンチ・野菜物語

ほうれん草

ほうれん草
 
フランスのほうれん草といえば、グローブくらいの大きさの、分厚くて茎も太い巨大版。カボチャやきゅうり、なすと並んで、日本のものとはずいぶん違う外見で、お浸しや胡麻和えの純和風にはちょっと向かなそうだ。くたくたになるまで煮込んで、クリームやバターとあえたフランス流は、繊細さに欠けるとはじめ閉口したけど、馴れてしまえば不思議と美味しい。味が濃くてしっかりしている。魚料理や仔牛料理の付け合せに、タルトやキッシュやラザニアの詰め物に、頻繁に登場する。サーモンと合わせたコクのあるクリーム系や、パンチのきいたスパイス料理など応用のきく万能野菜だ。
中世の頃、故郷イランからアラブ諸国を経由して、コルシカ島からフランス本土にやってきたほうれん草。フィレンツェ風(à la florentine)とつけば、ほうれん草の入った料理のことをいうのは、ルネッサンス文化をフランスにもたらした、フィレンツェ出身のカトリーヌ・ド・メディシスの大好物だったから。また最近、市場やスーパーでサラダ用に若い葉っぱ(pousses d’epinard)だけのものを見かけるようになった。葉がいちだんと明るく、やわらかく、まろやかな味わい。スモークサーモンや生ハムをあわせればちょっとしたご馳走になるし、マッシュルーム、パルメザンチーズ、ドライトマト、カリカリに焼いたベーコンやにんにくとあわせれば、個性的なサラダの出来上がり。
レシピ
フィレンツェ風ポーチ・ド・エッグ
材料
フィレンツェ風 ポーチ・ド・エッグ 【4人分】
ほうれんそう800g、バター50g、卵8個、
おろしチーズ40g、塩、コショウ

≪モルネーソース≫
牛乳250cc、バター大さじ2、 小麦粉大さじ2、
卵黄1個、生クリーム大さじ1、
おろしチーズ(グリュイエールやコンテなど)35g、
カイエンペッパー(もしくはパプリカ)、
塩、コショウ
作り方
1. モルネーソースを作る。鍋にバターを熱し小麦粉を中火で炒める。粉っぽさがなくなったら牛乳を少しずつ入れて、なめらかなソースを作る。
2. ボウルに泡だて器で卵黄と生クリームをあわせ、1のソースに混ぜ合わせる。木杓子にかえて、おろしチーズをゆっくり加え、塩、コショウ、カイエンペッパーで味を整える。
3. ほうれん草をきれいに洗い、大鍋でゆがく。バターを熱したフライパンにほうれん草を加え、水分がなくなるまでソテーし、塩、コショウで調味する。
4. 半熟卵を作る。常温の卵を沸騰したお湯で5分間(冷蔵庫からだしたものなら7分間)ゆで、冷水につけ、殻をむいておく。
5. 一人用の耐熱皿(ココット皿)にバターを塗り、ほうれん草を敷きつめる。半熟卵をそっとおき、モルネーソースをかけ、チーズをまぶし、塩、コショウ。
6. オーブントースターでこんがり焼き色がついたら、すぐに食卓へ!アツアツをフーフーいいながらいただこう。

☆モルネーソースは、ベシャメル(ホワイト)ソースにおろしチーズと卵黄を加えてコクをだしたチーズソース。アンディーヴをはじめ、温野菜のグラタン料理など、昔ながらの家庭料理の素敵な脇役。
レシピ
ほうれんそう若葉とトロピカルフルーツのサラダ カレー風味
材料
ほうれん草と若葉とトロピカルフルーツのサラダ カレー風味 【4人分】
ほうれんそうの若葉(pousses d’epinard)300g、
鶏肉200g、アンディーヴ1個、アボガド1個、
パイナップル(生か缶詰)100g、
マンゴー(熟れてないもの)100g、レモン1個、
ゆで卵2~4個、ほしぶどう大さじ2、

≪ドレッシング≫
ヴィネガー大さじ1、サラダオイル大さじ2、
マヨネーズ大さじ3(好みで生クリーム)、
カレー粉小さじ1~2

作り方
1. レモン汁で2時間ほどマリネしておいた鶏肉を蒸して、食べやすい大きさに切る。
2. アボガド、パイナップル、マンゴーを角切りにする。ほうれん草はきれいに洗って水気をきっておく。アンディーヴはざく切りにし、ゆで卵は4等分する。ほしぶどうはぬるま湯に戻し、ふっくらとやわらかくしておく。
3. ドレッシングを作る。ボウルにヴィネガーとサラダオイルをとり、よくかき混ぜて、マヨネーズを加え混ぜ続ける。カレー粉、塩、コショウで味を整える。
4. 食べる直前に1と2をドレッシングで素早くあえ、取り分ける。

☆料理好きのマダム・ヨーヨーに教わったレシピは、ほうれん草と鶏肉にカレー風味のアクセントがきいたサラダ。マンゴーやパイナップルのこっくりした甘味が、カレーの香味に相まって意外な美味しさ。彩り美しく、食欲をそそる一皿だ。
☆時間があれば、マヨネーズはぜひ自家製を!ボウルに卵黄1個、マスタード小さじ1を泡だて器で混ぜ、少しずつサラダオイル(全体で250cc)を加えて、もったりするまで混ぜ続ける。最後にヴィネガーかレモン汁大さじ1を加え、シブレットやパセリなど好みのハーブを刻んで加える。ひと手間かかるけど、味は格別に美味しくなります!ほうれん草若葉+ゆでエビ+グレープフルーツ+アボガドの組み合わせもいける。
レシピ
サーモンとほうれん草のキッシュ
材料
サーモンとほうれん草のキッシュ パイ生地1枚、サーモンの切り身400g、
ほうれん草450g、卵2個、
低脂肪生クリーム200cc(もしくは生クリーム
100ccとpetit-suisse120g)、
レモン汁大さじ1、アネット、バター、
塩、コショウ、好みで松の実30g、クミン

作り方
1. オーブンを180℃に点火。タルト皿にバターを塗り生地をしきつめる。フォークで空気穴を開け、おもしをのせて約7分間、から焼きで約4分焼く。
2. ほうれん草は洗って、泥をきれいにとりのぞく。大鍋にたっぷりの湯を沸かし、大さじ1の塩を入れ、ほうれん草を柔らかくなるまでゆがく。取り出したら水にさらし絞ってから、適当な大きさに切っておく。サーモンは大きめの角切りに切る。
3. ボウルに卵を割りいれ、オムレツのようにかき混ぜる。生クリーム、レモン汁、アネットのみじん切り、チーズを加え、塩、コショウで味を整える。好みで松の実やクミンをアクセントに加えてもいい。
4. タルト皿にサーモン、ほうれん草の順に重ね、卵液を静かに注ぎこむ。
5. オーブンにいれ、こんがり焼き色がつくまで約35~45分焼く。辺りに香ばしい匂いが立ち込め、フツフツと表面が踊りだしたらいざ食卓へ!