フランス・市場物語

桃


一番よく食べられている桜桃



上から、白桃、ネクタリン、ブリィニョン、平べったい桃(pêche plate)
 
フランスの桃は、日本の白桃のように果汁たっぷりの濃厚な甘さを期待すると、しばしば裏切られるけど、素朴な味わいの庶民派。甘酸っぱくて果肉のしまった黄桃が主流で、繊維たっぷり、あっさりとした甘味の白桃は少数派だ。秋になると、ワインレッド色の果肉が鮮やかな「ブドウ畑の桃pêche de vigne」、「血の桃pêche sanguine」が出まわってくる。フランス語で「avoir une peau de pêche桃の肌を持つ」とは、スベスベの柔らかい肌のこと。日本のモチ肌に匹敵する最上級のほめ言葉だ。「avoir la pêche 桃を持っている」といえば、元気いっぱいな様子。美と健康の象徴的な存在であり、恋する女性の華やいだ雰囲気を持ちあわせている。表面がビロードみたいなウブ毛におおわれていて、熟すにつれて桃色になり、香りと甘味が増していく。熟したものを生のままかぶりつくのもいいが、フランスの桃はタルト、コンポート、シロップ煮、ジャムなど加工品にも向いている。やや小ぶりでつるっとした肌の持ち主・ネクタリンは桃の変種。アンズとモモを合わせたような味わいで、種と実が離れにくいものをネクタリンNectarine、離れやすいものをブリュニョンBrugnonとよんでいる。最近は、お饅頭をつぶしたような平べったいpêche plateを見かけるようになった。これは日本の白桃には及ばないけど、とろりとした甘味とふくよかな香りで人気上昇中。
レシピ
ピーチメルバ
材料
ピーチメルバ 【4人分】
完熟の白桃 4個、
市販のバニラアイス 400g、
アーモンドの薄切り 大さじ2杯、
フランボワーズのピューレ
(グロゼイユのジュレでもいい) 大さじ4杯、
レモン 1/4個

シロップ用:
水1ℓ、砂糖200g、バニラビーンズ1/2本

作り方
1. 桃の皮を剥く。皮が剥がれにくい場合、熱湯に約30秒浸し、すぐに冷水にさらし、皮をむく。
2. シロップを作る。鍋に水を1ℓわかし、砂糖200g、サヤからとりだしたバニラビーンズを加え、とろみがつくまで火にかける。
3. 2.に桃をそっと入れ、約15分ゆで、そのまま粗熱が取れるまで、シロップの中に漬けておく。
4. 完全に冷めたら桃を半分に切り、種を除き、レモン汁をふりかける。ラップをして冷蔵庫に休ませる。
5. フライパンを弱火にかけ、アーモンドを炒って冷ましておく。
6. 冷やした器にフランボワーズのピューレ、桃、バニラアイスをのせ、、アーモンドを散らす。

* 19世紀を誇るフランスの料理人オーギュスト・エスコフィエの代表デザート。
当時、一世を風靡したオーストリアのオペラ歌手ネリー・メルバNellie Melbaの歌声に魅せられたエスコフィエが、歌劇『ローエングリン』の白鳥を模して作った。
レシピ
桃とイチゴ、マスカルポーネのムース
材料
桃といちご、マスカルポーネのムース 【4人分】
白桃 4個、
イチゴ400g、
マスカルポーネ 250g、
生クリーム 100cc、
はちみつ 大さじ2、
板ゼラチン 3枚、
卵白 2個、
バニラビーンズ、
レモン1/2個、
砂糖150g
作り方
1. イチゴを洗いヘタをとり4つに切る。
2. 板ゼラチンを水でふやかし、水気を切る。小鍋にうつし、弱火で溶かす。
3. 別の小鍋に生クリームとはちみつを入れ、沸騰直前まで温める。
4. 2.と3.をあわせ、マスカルポーネも加え、かき混ぜる。
5. 卵白2個分をしっかり角が出来るまで泡立て、4.にそっと加える。
6. 器にイチゴを並べ、5.のクリームをもり、冷蔵庫で約4時間休ませる。
7. 桃のコンポートを作る。熱湯に桃をさっと入れ、皮を剥き、二つに割って種を除く。小鍋に水300cc、レモン汁、砂糖を入れ、とろっとするまで煮る。桃を入れ約10分ゆで、冷めるまで、そのまま置いておく。
8. 6.のムースが固まった頃、桃を静かに浮かべ、サーブする。
レシピ
フレンチトースト、桃のローストのせ
材料
フレンチトースト、桃のローストのせ 【2人分】
白桃 2個 
桃のリキュール100cc、
固くなったブリオッシュ(余ったパン) 2切れ、
牛乳200cc、
卵2個、
砂糖90g、
バター90g、
アーモンドの薄切り25g、
バニラビーンズ1/4本、
あればカルダモン、
ピスタチオ 少々
作り方
1. フライパンでアーモンドをカラリと炒る。
2. 熱湯に桃を約30秒つけ、さっと冷水に浸す。皮を剥き、二つに切って種を除き、レモン汁をふりかける。砂糖30gを桃の表面にまぶしつける。
3. フライパンを熱し、バターを30gひき、桃の表面をさっと焼いて取りだす。
4. そのまま同じフライパンに、アーモンド、(あれば)ピスタチオ、カルダモンを入れてからめる。
5. 4.に桃のリキュールを注ぎ、半量まで煮詰め、桃の上にそっとかける。
6. ボウルに全卵、卵黄、牛乳を入れ、砂糖の残り60g、さやから取りだしたバニラを加え、よく混ぜる。ブリオッシュを浸し、フライパンにバター60gを熱し、両面がこんがりキツネ色になるまで焼く。
7. お皿にブリオッシュ、桃のローストを二つのせ、残った汁をかけまわす。

* 桃のリキュールがなければコアントローなど果実酒で、バニラビーンズが無ければバニラエッセンスで代用してもいい。
レシピ
ベリーニ
材料
ベリーニ 【2人分】
完熟の白桃 1個、
よく冷えたシャンパンか
プロセッコ (イタリアヴェネト州の
スパークリングワイン) 300cc、
シロップ 小さじ2杯



作り方
1. 白桃は皮と種をとり除き、ミキサーにかける。
2. 1.とシロップを混ぜ、冷蔵庫で冷やしておく。
3. グラスに2.とシャンパンを注ぎ、マドラーでよく混ぜてサーブする。

* 桃のネクターとシャンパンは3対7の割合。
* フランボワーズのピューレを少々加えたり、シロップの代わりにグレナディンシロップを使って、桃色に演出するとロマンティックな気分です。