ネットで見るかぎり、ではありますが、日本はまだオリンピックの話題で盛り上がっているようですな。といっても不振の責任を追及するイヤ〜な盛り上がり方ですが。
とくに野球の星野監督に対する集中攻撃は、外から見ているといかにも日本的。「理想の上司」(勘弁してもらいたいが)とかさんざんワッショイしておきながら、何かあるとドーンと落っことす。批判の理由として「プロなのに」という論調が圧倒的だが、プロだからこそオリンピックだけに集中できなかったのではないですか? ま、監督は別かも知れんけど。でも実際に戦うのは選手ですからねえ。
そこへ行くとフランスは、「結果はともかく、よくがんばってくれました」ってな称え方。「参加することに意義がある」という言葉を広めたド・クーベルタン男爵の母国ならでは、か。
フランスでは26日、メダルをとった選手たちがシャンゼリゼで凱旋パレード。これは、シャンゼリゼにショップをもつ某スポーツメーカー(フランス選手代表団の公式スポンサー)が仕組んだ大キャンペーンなのだが。選手たちはヒーロー気分を味わって大ハシャギ。「いやー、サッカーW杯優勝チームの気分だねえ。あのときは観衆だったけど、今回は自分がヒーローだからねえ」と某レスリング選手。実際はW杯優勝のときの何十分の一しか集まっていなかったけどね。スポンサーの旗を振らされていた沿道の人々の無邪気さはチト悲しい。
その後、選手団は大統領の待つエリゼ宮へ。サルコジの首に金メダルをかけたり、スポーツ大臣のロズリーヌ・バシュロを胴上げしたり、ヨイショしまくる男子ハンドボールチームのお調子者ぶりが目立った。
さて、そのバシュロ大臣ですが、飾らない人柄と歯に衣着せぬ物言いが人気のオバサマ政治家。たとえれば田中眞紀子サンから毒を抜いたような存在か。眞紀子サンと全然違うのは、オトウサンがレジスタンスの闘士だったってトコね。もちろん嫌いな人も多く、「知性なし」「品性なし」とバカにされることもしばしば。
そのロズリーヌおばさま、27日の閣議には、なんとピンクのクロックスを履いて出席した。クロックスというのは、一時期流行った穴ぼこだらけの便所のサンダルみたいなゴム靴です。なんでもフランス選手団の獲得メダルが40個に達したら、閣議にコレを履いて出る、というのが「公約」だったんだそうで。
こういうことを笑ってすます人ばかりでないのは、さすがフランス。バシュロ大臣の正式の肩書きは「保健・若年・スポーツ・市民団体」相なのだが、この中でもっとも優先すべき保健政策をなおざりにしているという批判が出た。大臣批判の声明を発表したのは、エイズ撲滅のために戦闘的な活動を展開する「Act Up」。声明のタイトルは「Les malades du sida ont les crocs」。サンダルのクロックスとフランス語で「腹をすかせている」という俗語の「ont les crocs」をかけ、「エイズ患者は苦しんでいる」というわけ。「エイズで死ぬ世界の8000人をよそに、大臣は何もしないでスポーツごときに浮かれている」と痛烈なパンチを浴びせたのでした。
吹く風にそろそろ秋の気配を感じるパリのきょうこのごろ。どこの会社もいい加減、本格的に仕事再開モードにならざるを得ない時期ですな。子供たちもそろそろ新学期(フランスは地方によって始業の日程が異なり、首都圏は2日)。
ですが、まだ休みの余韻を感じていたい人がいるせいなのか、夏の終わりになってはじまる移動遊園地があります。ブーローニュの森で8月30日から開かれる“Fête au Bois”。歴史の古い“Foire du Trône”(ヴァンセンヌの森)や“Fête des Loges”(サン・ジェルマン・アンレー)にくらべるとややマイナーか。
ところが、今年のオープン数日前にこの移動遊園地が話題に。というのも、あるアトラクションがドラノエ市長によって“禁止”処分を受ける見通しだからなんですな。その名も「電気椅子」。頭から袋をかぶせられた“死刑囚”が電気椅子で処刑されるシーンを再現したもので、ラテックス製のマネキンが体中からケムリを出して痙攣しながら断末魔の叫びをあげ、最後はガクッと昇天、というバッドテイストの極み。すでに南仏のフレジュスやミラノの遊園地でも禁止処分を受けている。この出し物の主は何を思ったか、1万ユーロも出して買ったのだそうだ。作ったヤツはアメリカ人です。やっぱりね...。