エステティシャン 立神 詩帆さん
Shiho Tatsugami, esthéticienne

エコール・ミリテール近く、7区の高級住宅街。ヘア・サロンの地下にあるエステ・サロン、CHICHIは、飾り気がなく機能的。パリの最もハイソな地区で、エステサロンCHICHI Parisを経営する日本人、立神詩帆さんはどんな経歴の方なんだろう?
手に職を・・・
学生時代からコスメに興味があった詩帆さんは、エステティシャンの資格を取ることを思い立つ。「これからは手に職があったほうがいいと思って」
エステ発祥の地、といえばフランス。最も古くて由緒あるフランソワーズ・モリスの養成学校を彼女は選ぶ。フランソワーズ・モリスは1944年にフランスで初めてのエステティシャン養成インスティチュートを開き、エステティシャンの技術と立場を向上させようとした。それまでフランスでは、試験がなく独学で誰でもなれて、確立していない職業だった。
モリス夫妻の熱意が通り、1963年にエステティシャンの国家試験が設立される。
猛勉強の1年
フランソワーズ・モリス養成学校では外国人向けのクラスがない。授業は毎日9時から17時まで 、全部フランス語、先生は黒板に何も書かないでしゃべり続ける。フランス人のようにディクテができるわけがない。詩帆さん真っ青!
「他の学生からノートを借りまくってコピーし、丸暗記しました。授業の内容はよかったです」
2回義務づけられている企業研修は、当時オペラに開いたばかりのメナードで体験した。
そして国家試験。専門科目として、化粧品科学、香水、職業倫理、衛生化学、解剖学、テクノロジー、販売、美術・・・バカロレアを取得していないフランス人や外国人は、さらに化学、生物、物理、数学、英語、国語、地理、歴史、スポーツなど一般教養。実技はフェイスケア、メイク、脱毛、ネイル。
聞いただけで頭痛がしそうな試験、詩帆さんは見事に受かりCAP(職業適性証)を手にする。
日本のエステで
パリやブリュッセルのエステで勤めた後、大阪のフランソワーズ・モリスで働いてみないかと言われ、帰国を決める。
ホテル内にある高級エステ、ラッキーな就職に見えるけど、労働条件は厳しかった。就業時間が長い、休みが少ない。その上、京都住まいの立神さんは毎日往復4時間かけて通勤。
「フランスの時間の流れ方、夏のバカンスが懐かしくて・・・」でも懐かしかったのはそれだけではなかった。
フランスに戻ってきた訳
フランス人と日本人両方のエステがしたい、が大きな理由だ。「そして今度は小さくても自分で仕切るサロンを持ちたかった」。7区のヘアサロンの地下を貸りられたのは幸運だった。“1年がんばろう”と言い聞かせ、気がついたら4年が経っていた。
現在、客層は仏人70%、日本人30%。
『このシワ、このシミをなくしたい』と明確な目標を持ってサロンに来るのは日本人に多いそうだ。フランス人は、パーティや大事なデートの前日だけではなく、ちょっと眉毛を整えたい、化粧品やケアのことで相談したい、と気軽に来る人が多い。また、娘さんが年頃になったらエステをプレゼントして、母親から娘に受け継がれる。親子3代が同じサロンにケアを受けにくることも珍しくない。
そしてどんなに年取っても女である、のがフランス女性。「シワをなくしたい」と来る93歳と94歳の姉妹や、85歳で未亡人になってから「もう一花咲かせよう」というおばあさん。みんなに誕生日のプレゼントにエステ券を頼み、10枚ゲット。バストケアまでするというからエライ。
「でも1週間に一度必ず来る人の肌は綺麗ですよ」と聞いて、ハッとした。今まで縁がなかったけど、エステ始めたほうがいいかもしれない。
CHICHI Paris:72 avenue de la Bourdonnais 75007 Paris
TEL:01 45 51 34 87
CHI CHI Paris公式サイトはこちら
立神詩帆さんのブログはこちらです。