フランス人のプロフィール
フランスで働く日本人
メールの丁寧で美しい文体や責任あるポストから、40歳近い年齢を想像していたら、ずっと若い女性が現れた。フランスの由緒ある古城、la Verrerie(日本人には発音しにくいRの連発!ラ・ヴェルリー)城で、城主の右腕として働く渡辺和子さん(31歳)。フランスに来て5年の彼女の道のりはとても興味深い。
大学、そして就職:
青山学院大学の仏文を卒業、フランス語は全然必要とされない保険会社のxxxに就職。仕事を覚え、こなすうちに4年が過ぎ、同じことの繰り返しにハタと考えるようになる。自分で進んで開拓すればもっと重要で面白いポストにつけるかもしれない。でも、そこまでして続けたい仕事か?それに、入社して何年か経つと「いい加減、結婚して辞めないの?」という雰囲気があり、それに逆らってまで居残りたいとも思わなかった。そこで退社。フランスに留学を決める。
エックス・アン・プロヴァンス:
彼女が選んだのはセザンヌの故郷として有名な南仏の街。まずフランス語を、と語学学校に入る。気候はいいし、大学都市で外国人も多くとても暮らしやすい場所。あっという間に1年が経ち、お金が底をついてきた。そこでアルバイトを探す。しかし地方都市で仕事を見つけるのは思ったより難しい。ホテルに片っ端から履歴書を送ったがダメ、ある日エックスで一番高級な4つ星ホテル、Villa Galliceに出かけていく。一元のお客は入れないようなガードの高い正面玄関で途方に暮れていると、裏口からルームメイドの女性が出てきて「あなた仕事探しているの?じゃこっちから入りなさい!」そして担当者に会わされ「じゃ明日から来てください」ということになってしまった。ちょうど夏の書き入れ時。「予想したよりずっときつい仕事で、こんなの続けたら死ぬ、と本気で思いました」と和子さん。それでも段々慣れて、学校が休みの夏季だけだが3年も続いてしまった。「そんな辛い仕事を続けられたのは、フランスが好きだったから?」と尋ねると、「いいえ、すごく好きな男性がいたから頑張れたんです」という答えが返ってきた。
しかし3年経つと・・・:
大学まで出してもらってルームメイドをしていたら親に申し訳ない、という思いが募ってきた。ある日、日本人新聞オヴニーで、シャトーの求人広告を見つける。ダメモトで、と履歴書を送ったら、城主の伯爵からじきじきに電話がかかってきた。そして面接。「いつから来れますか?」と問われ、とんとん拍子に就職が決まる。ほかにも沢山応募者がいたのに、自分が選ばれたのは、ホテルの支配人が誉めすぎの推薦状を書いてくれたから、と彼女は謙遜するけど、いやいや伯爵は人を見る目があったんですよ。話せば話すほど、柔らかい物腰の中に芯の強そうな、責任感のありそうな人柄が感じられる。
城の生活:
2週間で前任者からみっちり引継ぎをし、和子さんの城の生活が始まったのは2006年夏。顧客・広報担当であり、朝食時は食堂でサービスし、夕方6時から深夜まではフロント係。伯爵が留守のときは文字通り城を守り、雑誌などの取材に応じるのも彼女の仕事だ。色々な人と出会えるのがとても面白いそうだ。一方、遠距離恋愛は続かず、春に彼とは別れた。お城の就職を決めたときから、予期していないことではなかった。
伯爵から最近、すぐ採用を決めたのは彼女がルームメイドをしていたからと言われた。そういう仕事を体験し、きちんとこなした人なら任せられると。「あの3年、決して無駄ではなかったと思いました」そう、回り道に思える時間も、必ず経験の蓄積となって開花する。
渡辺さんが教えてくれた面白いエピソード:
「ホテル・ガリスは一泊最低300ユーロとめちゃくちゃ高いんで、来るのはスターとか成金。彼らの部屋の汚し方はスゴイ」ところが同じお金持ちでも代々裕福なブルジョアは部屋を綺麗に使うそうだ。そういえば、芸能人の多いパリのヴァンドーム・ハイアットに勤める友人も同じようなことを言っていたっけ。彼らは靴下やパンツまでクリーニングに出し、「全部すごく高価なブランドで決めているのに、靴下は穴が空いているなんてことがしょっちゅう!」
 
渡辺さんが働く、ロワールの由緒ある古城、ラ・ヴェルリー城を紹介します。
湖に映る姿は絵画のような美しさ
手入れの行き届いた城内。ここは大食堂
冬にはこの大広間でクラシック音楽のプライベートコンサートが開かれる
シャトー周辺の森で狩った鹿の角などが壁にかかる回廊
渡辺さんのお部屋からの眺め
ヴェルリー城の当代主である伯爵。馬に乗って狩りに出かけるのが趣味



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