メルシー
Merci

お店から出てきたマダムが「要するに、コレットよ」・・・確かに、選ばれたブランドの選ばれた品物が置いてある“セレクトショップ”ではあるけど、雰囲気が随分違うし、訪れる人は、パリの普通のカップル、子供づれ、大学教授を思わせる初老のムッシュー、学生・・・など、コレットでは見られないバラエティに富んでいる。

さて「MERCI」はどうして生まれたか?子供服のボン・ポワンのオーナー夫妻が始め、利益はマダガスカルの恵まれない子供たちに送られる、とは聞いたけど、ボランティア活動?お店にあるものはどうやって選ばれたんだろう?他のお店より安いって本当?・・・
アートディレクターのコロナ氏が答えてくれた。

きっかけ:
子供服ボン・ポワンの経営者マリーフランス・コーエンは60歳が近づいたときに「ボン・ポワンを35年やってきて、世界中に70店舗のブランドに発展させた。お金も沢山儲けた。しかし「これからは、南仏の別荘でのんびりと暮らそう」とは思わなかった。これからは、何か人生に意味を持たせることがしたい・・・高級子供服のブランドを世界に広めただけでも十分意味があると思うけど、マリーフランスはまだまだやりたいことがあった(MERCIも夫妻で経営しているが、機動力は奥様のほうにあるようだ)
自分の主観と好みが貫き通せるお店を作りたい。服があり、家具があり、台所用品やファブリックがあり、花があるお店。デザインやリュックスのゲットーにならず、300ユーロするバカラの花瓶と、19ユーロの花瓶が仲良く並んでいるお店・・・私たちは余生を暮らすに十分な蓄えがあるから、収益は恵まれない子供たちを助けることに使いたい。でもこれはチャリティではない。あくまでもビジネス。ビジネスとして成功させなくては・・・
そのお店の実現に3年半かかった。

コレットと何が違うか:
コレットはコンセプトストアで、売っているもののセレクション、流れている音楽、店員さんのルック、態度までがパッケージになっている。そのパッケージを好きか・嫌いかに別れる。ここMERCIは、誰もが自分の好きなコーナー、自分の予算に合ったものを見つけられるアラカルトの世界。高いものも安いものも、「好き」という基準で優劣なく選ばれ、並んでいる。「フランス人は実生活ではそうしている。サンローランのジャケットにZARAのTシャツを合わせ、普段使いには一個2ユーロのコップを使っているじゃないですか?」とコロナ氏。

セレクション:
マリー・フランスの呼びかけに答えたブランドは、YSL、ステラ・マッカトニー、マルニ、香水のアニック・グータル・・・彼らはMERCIのために特別モデルを作り、定価より30〜40%安い値段で提供。その他、プレタは、イザベル・マラン、ACNE、FORTE FORTEなどから“主観的”に選び、お花はクリスチャン・トルチュ、家具は、1950年代の小学校の机やモダンな椅子が、不思議に調和して並んでいる。

場所とインテリア:
ここは以前、カーテンや家具の生地問屋のショールームだったそうだ。倉庫っぽい雰囲気は残したまま大掛かりな改築。商品の陳列に、いわゆる陳列ケースは一切使わず、アンチークの箪笥や普通のテーブルなどが使われている。ちょっとイギリス風。

マリー・フランスの考えにこれだけの人とブランドが賛同し、ひとつの目的に向かっている、というエネルギーが、お店のあちこちや店員さんの態度に感じられる。手ぶらで出てきても、また覗いてみようと思う店。

111 Boulevard Beaumarchais 75011
TEL:01 42 77 00 33
営業:10h-20h
休:日
Metro : サン・セバスティアン・フロワッサール
/Saint-Sebastien Froissart (8番線)
73003 Paris, フランス