Valley of Love
愛の谷

かって一緒に暮らし、息子を儲けたイザベルとジェラール。離婚以来、何年も会っていなかった2人が、カリフォルニアの死の谷で再会するのは、息子ミカエルの遺書のせいだ。6ヶ月前に自殺したミカエルは、両親に、何月何日の何時に死の谷の〇×へ行ってくれ、翌日は×〇に行ってくれ・・・という手紙を送っていた。「僕は必ず会いにくるから」

超自然を信じたい母、「たわごとだ。死んだものは死んだんだ」と父。それでも息子の最後の願いだ。50度の気温の中、2人は言われた通りに死の谷を彷徨う・・・
コンセプト的なシナリオは、仏映画界の“怪物”2人、ジェラール・ドパルデューとイザベル・ユペールを35年ぶりに共演させる口実のように見える(第一、映画の中の名前もジェラールとイザベル)。
50度の気温に対照的な体躯の2人を投げ込んで、反応を見る実験のようにも見える(巨漢のドパルデューは汗だくであえぎ、小柄、痩身のユペールは今にもぶっ倒れそうだ)。
ギヨーム・ニクルー監督の『Valley of love』。カンヌでは賛否両論別れ、1つも賞を取らなかった。それでも観て後悔しないのは、2人の名優の圧倒的な存在感。
「俺は太った」
「でもあなたがそれで居心地いいなら・・・」
「こんなんで、居心地いいわけないだろ」
とか、
「君を一度殴ったことがある」
「誰かと間違えてるんじゃない」
「いや絶対殴った」
「覚えてないわ」
たわいのない会話に苦さと愛着が混じりあう。未練がないわけではないジェラール、過去のこととふっきりたいイザベル・・・この2人はやっぱり名優だ。

Valley of Love

ギヨーム・ニクルー監督作品
ジェラール・ドパルデュー、イザベル・ユペール
1時間32分