マチュー・アマルリックの寄り目に酔わされて
Un Conte de Noël

たかこさん、こんにちは。ずっと天気の悪かったパリですが、ようやく晴れてきましたね。このまま夏へ一直線!を祈るばかりです。
さて先日、アルノー・デプレシャンの新作‘Un Conte de Noël’を見てきました。カンヌ映画祭のコンペティション作品として出展されたこの映画。たかこさんの前情報通り、とても複雑な人間関係と感情渦巻く物語でした。


しかし、2時間半という長い映画にもかかわらず、どっぷりとその世界に埋没できる力ある映画。脚本のよさもさることながら、出演者の顔ぶれがすごい。カトリーヌ・ドヌーヴ、キアラ・マストロヤンニの母娘競演を始め、メルヴィル・プポー。そして、このコーナーのN゜11で紹介した‘潜水服は蝶の夢を見る’で、ロックトイン・シンドロームを罹ったELLE編集長を見事に演じたマチュー・アマルリック。それぞれの演技が、個性を引き出しあっていて、全編、静かな厚みを感じる映画でした。

舞台は、フランスの北・ルべ。
この街に住むヴィヤール一家は、母・ジュノン(ドヌーヴ)の遺伝的血液病の発病がきっかけで、それぞれの深い悩みをあらわにしてゆきます。長女のエリザベートは、著名な演劇評論家。数学者の夫との間に息子・ポールがいますが、彼は神経症で脆い印象。このポールと、数年前、事業の失敗が元で家を勘当されたアンリ(アマルリック)のみが、血縁の中で、ジュノンへの骨髄移植が可能な適合者だということがわかります。母の病のため、クリスマスに家族と顔を合わせるアンリ。しかし、生来の破天荒な言動が、一見平和に見えた一家に波風を立ててゆく。正直すぎて子供みたいにピュアなところがあるアンリは、アマルリックのはまり役でした。
それにしても、彼の寄り目。大画面で見るとものすごい威力ですね。変なバランスの顔なのに、ものすごく魅力的。

それに今さらながら気がついたのも、デプレシャンの見事なカメラワークによるところが大きかった。俳優の皮膚に入り込んでしまいそうなアップの描写。それに、絶妙な音楽をつけるセンス。この映画は、音楽使いも素晴らしかった。ミスマッチぎりぎりの選曲と、ギャグに転じるスレスレのカメラワークは、重いテーマをいかに軽やかに見せるか?というデプレシャンの試みのような気がしました。

マストロヤンニ演じる、次男・イヴァンの妻・シルヴィアと、いとこのシモンとの苦しい恋。そしてジュノンの夫アベルの母が若い頃にしていた女性との恋など、人間の欲望と苦しみが暴かれていく。それなのに、後味がさらりとして、胸のあたりが温かくなるのは、登場人物たちの”正直な感情”が描かれているからなのだと思います。

最後に、ストレス過多なヴィヤール一家の人々が、酒もたばこもがんがんにやるところなんかが、見ていて非常にフランス的だなあと思った私。日本でこういったテーマを扱う映画ならば‘不謹慎’と言われてしまいそうですもん。それもまた、正直で共感できる部分。「だって、人生シラフじゃやってらんないだろ?」と、劇中アンリが言ったか言わなかったかは忘れてしまいましたが。


Un Conte de Noël
2007年 フランス作品
監督/アルノー・デプレシャン
出演/カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン=ポール・ルシヨン、キアラ・マストロヤンニ、
   メルヴィル・プポー、マチュー・アマルリック

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