食農関連コンサルタント 服部麻子さん
Consultante agricole

「農業関連の仕事でがんばっている素敵な友達がいる」と紹介いただいたのが、食農関連コンサルタントとして活躍されている服部麻子さん。世界屈指の農業大国フランスで、彼女はどんな活動をしていて、どんな道のりだったのか。興味津々でインタビューに向かった。

食べることが好き、自然が好き
「食べることも自然も好き。それが私の農業への情熱と関心のはじまり」。大学時代は農学部に在籍し、院まで進んだ。フィールドワークを中心に研究に取り組み、農水省が運営する地域づくり応援隊として-地元住民とは違う視点で-町作りに参加。長期休暇には海やスキー場でのリゾートバイトに明け暮れ、常に自然と関わる日々を送っていた麻子さん。さまざまな問題を間近に見るにつれ、「外から見た視線で日本の農業を活性化できたら」という思いが芽生えるようになった。
そして2005年、麻子さんはフランスへと飛び立つ。

フランス、第一章 : はじめの一歩
語学もままならなかった当初は、パリでオペア(ホームステイし、子供の世話をしながら報酬をもらって語学学校などに通う制度)で滞在していた。ただ、雇い主と気が合わず、たったの一ヶ月でステイ先を出ることに。農業労働者になって田舎をまわり、現場でいろいろ見たいと思っていた麻子さんは、その後は語学学校に通いつつ、休みを見つけては農家でアルバイトをする日々。
2007年には、もっと農業のさかんな場所へと南部のモンペリエに移り住んだが、悪い要因が重なり、思ったとおり物事は運ばなかった:まず、時期的に、麻子さんが引っ越した2月は冬で畑仕事が少ない。そして、言葉が十分にできない、運転免許がないこともネック。どうにもこうにもいかず、雨の中、カッパを着て自転車で履歴書を配って回ったこともあるという。
結局、期待していたような仕事はできなかったが、日本よりもはるかに規模の大きい農地を有する農家の人々と接する機会に恵まれ、少なからずの収穫はあった。
生活費が底をついてきたある日、パリの調理場でのアルバイトの話がきたので、パリに戻る決心をする。本当は直接農業に関わりたい麻子さんにとって、それは苦しい決断でもあった。唯一、料理は農作物とは切っても切れない関係であることが救いだった。
こうしてしばらく農業から離れていても、麻子さんの気持ちは変わることはなく、「言葉ができないと相手にもしてもらえない」と語学学校でフランス語のブラッシュアップに力を入れた。

フランス、第二章 : 少し前進
フランス語に自信がついてきた麻子さんは、一旦日本へ帰国。2010年2月、『フランスと日本の農村のコーディネート』という企画書を提出し、コンペタンス・エ・タロン(能力と才能)という3年間有効のビザを取得する。フランスでの日本茶の販売や、日本の農山村に若いフランス人を送りこむコーディネートがメイン。「でも現実は甘くなかった。事業になると思ったら、全然ならなくて(苦笑)」。
ある日、大学の先生に今後のことを相談にいくと「大学院に行けば?」との答え。大学院に行くお金がないという麻子さんに、「フランスの学費は安いでしょ」。
そうだった!日本での農学部(院)の学歴があったおかげで、農業と経済に特化した高等教育機関グランゼコル、アグロパリテックのマスターコース2年目に編入できることになった。民俗学、社会学の視点から、農業や農村の伝統をどのように伝えていくかということを掘り下げた。そして、卒業。麻子さんは、学んだことを糧に当初の活動を続けつつ、現在は日本の農作物のフランスにおけるプロモーションのお手伝いや、農業者が視察で渡仏するときのコーディネートもお手のものだ。

今後のこと、夢のこと
「フランスの農業事情をもっと日本に伝えていきたい」と麻子さん。上っ面だけでなく、本質を伝達したい、と。また、「夢は、半分は労働農業者の生活」という。ワゴン車を買ってフランス中の農家を周りながら、現場により近づき、日本に向けてレポートしていきたいのだそうだ。
「かつての宮本常一(民俗学者)のように」とニッコリ。いつも笑顔で元気いっぱいの麻子さんでも、「うまくいかなくて、日本に帰ろうかなと思うこともある」という。まだまだ自分のやっていることに自信が持てないというのだ。「でも農業のことは心から好きだし、やめられない。やれるところまでがんばろうと思う」。私の目に彼女の姿はとても頼もしく映り、着実に前進しているように見えた。日本の農業を支えていくには、彼女の情熱と力が必要な気がする。私は、そろそろ麻子さんの第三章がスタートするのではないか、と心待ちにしている。(Chiharu)

食農関連コンサルタント 服部麻子さん | Consultante agricole” への4件のコメント

  1. 記事を読ませて頂き、ふつふつとした静かで確かなエネルギーを頂きました。
    いつも文章の中から温かい視点が感じられ、私まで応援されいるように感じる時があります。ありがとうございます!

    • そう言っていただけると嬉しいです。
      ありがとうございます。

    • コメントありがとうございます。
      服部麻子さんにお伝えしました。

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